ジョージ三世の恩返し日記

・加圧やヨガを通して3桁あった体重からダイエットをし、今となっては新人加圧トレーナーとして活動し、楽しく明るく元気に!を意識し楽しみながら日々励む男のブログ。

繋がり。

 

 

東京で仕事を始め3日目の早朝

起床して歯を磨き、シャワーを浴び

髪をピシッとセットし、ユニフォームを着て

返事の無い空間に

「行ってきます」と、ぼそっと一言。

そして靴を履き家を出る。

 

いつもの何も変わらない朝だった。

 

職場へ行くために、

大好きな歌手のライブ会場へ

足を踏み入れる。今日も満員御礼だ。

 

しかし周りの人たちは

そのライブ会場で下を向き、あくびをし、

目を閉じ居眠りをし、疲れた表情をしている。

 

多分、その歌手が好きではないのだろう。

じゃあ何故このライブ会場に来たんだ?

 

嫌々なら来なけりゃ良いのになぁ。

なんて思ったりしていると

私の中の、数十分ライブが終了した。

 

ライブの余韻に浸ることなく

参加者が一斉に動き出す

みんなライブより活動的だ。

 

忙しく階段を駆け上がり、歩きも早々。

 

私はそれをするのがあまり好きではないので

時間にゆとりを持ち、

早めに家を出るようにしていた。

 

そして職場へ着き、上司達に挨拶をし

みんな車へ乗り込み現場へと向かう。

初日、2日目と同じく上野へ

ちなみに5日目まで上野だそうだ。

 

そしてブースを綺麗にセッティングし

5人でミーティングを始める。

平均年齢29歳、

内容も大した事は話さない

頑張りましょう!とか、

契約何件とります!とか、

楽しく頑張ります!とか、そんな感じだった。

 

それが悪いとは思わなかったが、

私の中ではモヤッとしたものがあった。

 

エンジニアの癖なのか、なんなのか、

故障箇所を直す為には?

故障を防ぐ為には?

整備をスムーズにする為には?

 

その、為には?が私の中ではあった。

 

契約とります!

ではなく、

契約とる為には?が重要だと、

思うとモヤッと感があったのだ。

 

契約を取る事は大事だが、

そこに行き着く為にどうするかが

大事になると思っていた。

 

 

ミーティングの内容はさておき

上司達のやる気はかなり感じられる。

新人なりにその熱量は感じ取れた。

 

そして威勢よく

ティッシュ配りが始まる。

 

「どーぞ!Wi-Fiキャンペーンやってます!」

「多数同時接続可能ですよー!」

「ポケットWi-Fiいかがですかー??」

「今ならタブレットも付いてきまーす!」

 

元気よく笑顔で宣伝し営業する。

みんな楽しそうにやっている。

 

私もティッシュを配る。

「あ、どーぞ!ポケットWi-Fiって、、」

 

30代半ばくらいだろうか、

細身の女性の方がティッシュを受け取り

立ち止まってくれた。

 

人生初の営業のチャンスが巡ってきた。

先輩方の仕草や営業トークをした。

普段おしゃべりの私だが、

緊張しているのか肩に力が入り

少し言葉に詰まった。

 

いきなり女性から、

「なんかお兄さん、沖縄っぽいね!」

と、ニッコリしながら言ってきた。

 

「そーなんですよ!よく分りましたね!そう見えますか??」

と、私は返した。

 

すると女性は

「やっぱり!そんな感じしたんだよねぇ。私、沖縄結構好きでさ!数回行ったことある。」

と、楽しげに話をしてきた。

 

いつの間にか緊張を忘れ

いつも通りのおしゃべりな私に戻っていた。

Wi-Fiとは全く関係ない話を5分ほどした。

 

「立って話すのもあれなんで、良かったら椅子ありますんでどうぞ。」

 

私はブースにある小さな接客スペースへと

女性を案内した。

 

「はいはーい!ありがとう!」

笑顔が素敵な細身のその女性は、

言われるがまま椅子へ座った。

 

そしてまた5分おしゃべり。

そして10分程だった時、

「あ、ポケットWi-Fiだったね!どうやって使うの?月いくら?通信量は?」

と、いきなり女性は言った。

 

おしゃべりのゆったりした時間から

一気に現実に引き戻された私は、

また緊張し始めた。

 

だけど、心は落ち着いていた。

ゆっくり製品について話を始めた。

 

「、、、っとまぁ、使い方はこんな感じです。結構簡単なんですよ。」

 

「確かに簡単だ。んで、月いくらで使えるのー??」

 

「月4,980円ですね。」

 

「へー!縛りはあるのー?」

 

「機種代金無料の代わりに2年間使っていただくのが条件で、2年以内に解約となる場合、機種代金が発生してしまいます。」

 

携帯端末で良くあるような

割賦の話を穏やかに話した。

 

「お兄さん沖縄の人だし、話してて楽しかったから契約します!」

と、笑いながら言ってきた。

 

私は動揺した。

え、そんな理由で⁈

でも、まあ喜んでくれてるし良いか。

 

「え、あ、ありがとうございます!では、早速手続きに入らせていただきます!主任!お願いします!」

 

 

 

研修の身だった私は

ティッシュ配りやトークは見て学んだが

契約手続きまでは見ていなかった。

そもそもこんなに早く契約が取れるなんて

思ってもいなかったのだ。

 

それは周りも同じ気持ちだったようだ。

なんだかザワついている。

 

主任も、

「え?え?契約?決めたの?君一人で?」

目を大きく開き、ビックリしていた。

 

私は、はい。

とだけ伝えた。

 

主任と一緒に必要書類とiPadを取り出し

女性の元へ戻った。

 

「お待たせしました!では、契約手続きを担当いたします。」

と、主任は言い、iPadを取り出した。

 

女性は、よろしくお願いします。と一言

 

 

 

手続きは順調に進み、契約が完了した。

 

女性は席から立ち上がり、

ポケットWi-Fiが入った手提袋を

軽く持ちながら、

「お兄さんまたね〜!ありがとう!」

と笑顔で、ヒールの音を響かせながら

人混みの中へ消えていった。

 

この先、分からないが、

その笑顔が素敵な細身の女性に

もう会う事は無いだろう。

 

なにより、

いつもなんとなく使っている

ポケットティッシュ1つから始まる出会いが

こんなに素敵で濃いモノだとは思わなかった。

 

そしてこんなにも素晴らしい経験を

与えてくれるとは思いもしなかった。

 

 

 

その女性は、

今でもそのポケットWi-Fi

使っているだろう。

 

 

 

そのWi-Fi回線が

スッと切れない事を願う、、、。

 

 

 

 

 

出会う事は無くても、

Wi-Fiじゃない繋がりを感じていたい。

 

 

 

 

 

なにより

貴重な経験を

ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、また次回。