暖かい提案。
「はい、なんでしょうか?」
私は、気にするように言った。
『うん。辞めるのは仕方ない。やりたい事なんだろうからな!ただ、こっちも簡単には手放したくない』
とりあえず辞めれる事は辞めれる。
複雑な気持ちだっが
踏ん切りついた瞬間だった。
ただ気になるのは提案とやらだ。
人事担当は続けて言った、
『1ヶ月間は籍を置いといて欲しい。というのも、もし、次の職場へ行って仕事してみて、なんか違うな。またウチが良いな!と思ったら戻ってきてくれ。こっちは全然構わないから。一から手続きする方が大変だからな。』
、、、なんと有難い。ビックリした。
そんな提案だとは思いもしなかった。
でもミツさんの下で働くからには
辞めるつもりも気持ちも無い。
そもそもそんな半端な気持ちで入社など
したくなかった。
しかし、提案を断る事は出来なかった。
『な、どうだ?この提案!』
人事担当は笑いながら言った。
「はい、ありがたい提案です。そうさせていただきます。しかし、戻ってくる確率は限りなく低いと思うので、そのまま退職手続きしてくれた方が良いと思うのですが、、、」
『そうか、でも良いよ。1ヶ月以内にまた連絡くれよ。その時に、また話しよう!とりあえず今は出張だろうから、しっかり営業して契約取ってきてくれ!全力出してくれよ。期待してるからな。』
「はい、ありがとうございます。頑張ります。」
『あ、じゃあ、研修も無しか!資料作ったのになあ。』
人事担当は笑いながらそう言った。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになったが
あえてそこは、
「次の新人が使う事に期待しましょう」
と、言った。
人事担当は、
『そうだな。お前のような奴が来たら使わせていただくよ!まったく。次の職場行っても頑張れよ!また出張終わったら連絡くれ。じゃ、契約任せたぞー!』
と言って電話を切った。
バトンタッチした瞬間。
ミツさんの下で働ける
嬉しい気持ちが湧き上がってきた。
それと同じくして
今いる職場に少しなり恩返しするため
今いる出張を全力で頑張ろうと思った。
心の中が、
スッと晴れた気がした。
そして出張最終日。
その場にいた先輩方に
私の退職が知らさせる事になった。
みんな、驚きの反応だった。
しかしながら出てくる言葉は
暖かい言葉しかなかった。
たった2ヶ月ほどだったが、
付き合いは濃いものになっていた。
休日も遊びに行く人も居た。
同級生だけど先輩、
休日はただの同級生。
気楽に過ごせていた。
人と付き合うのは嫌いじゃない、
むしろ好きな私からしたら
良い時間だった。
そう付き合って来た先輩は
誰よりも驚いていたが
誰よりも気にかけてくれた。
少しだけ、
目にゴミが入ったような気がした、、、。
また、次回。